おはなしセレクト
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0:導入 1:旅立ち 2:赤と黒の滝 3:魔女が魔女である理由 4:救いのヒト
5:決戦 6:国賭けゲーム 7:きこえない声 8:新たな出発 9:罪の代行者
10:永遠の夜 11:最後のノート 12:じゃあ、また
借り物のいのちで せかいに うまれおちよう
第3話 「 魔女が魔女である理由 」
「しんかい」へ沈んだ「おひさま」は
光のアブクとなって散る
散るその瞬間、見えるもの
ハトのようなカタチ、したもの
「名もなきせかい」の「しんかい」の外れ
「白い宇宙」と呼ばれる場所。
しんだいきものは、しろいしろい箱をもらい、 あたらしいいのちで、かがやくものにうまれおちる。
しろいしろい箱の中には、あたらしいいのちが入っている。
しかし例外があった。
待ち望んでいた、わくわくしながら開けたその箱の中身は、
からっぽで。 ただ「ハズレ」と書かれた紙が入っているだけ。
そんな、しろいしろい箱の中身が、ハズレだった時
私はうまれた
あたらしいいのちをもらえないから、 ハズレだったから、うまれた私
ならば恐怖を与えられる事で
「相手にとって最も恐ろしい、いのち」に生まれ変わる
言わば借り物のいのちを使い、せかいにうまれおちよう
この能力が私
ヒトは皆、生き返りを、私を恐れる
私は望まれない存在
それでも、せかいの、長い時間の中を、沢山のヒトの中を
駆けよう
たったひとり、ハズレを手にしたあなたが
このせかいで、しあわせになる為に
生き返りを、繰り返し
恐怖を与え、与えられ
ヒトは私をこう呼んだ
魔女、と
俺の名は魔法使い。
新人の賞金稼ぎだ。
俺の、最初の仕事は
賞金稼ぎにいのちを奪われた者の家族、
「復讐者」の退治だった。
チッ…
ターゲットが子どもだなんて
聞いてなかったぞ…。
胸糞悪い初仕事だぜ…。
ギルド員から報酬を貰い
オレの初仕事は終わった。 こうして何度か仕事をこなしている時、あたったのが
さかさのくに・東に出没し 一般人に恐怖を与えるという 魔女の退治だった。
こいつが魔女?
まぁ、こういう方が仕事し易くて 助かるがな。
他の賞金稼ぎに狙われ続けたのか
怯えているな。 安心しな。一撃で終わらせてやる。
「お前はオレが最初に殺した女だ。」
復讐を果たすため、魔女になって蘇ったか。 哀れだな。
賞金稼ぎをせかいから消してやる…か。
面白い。 やってみろよ。 賞金稼ぎが一世を風靡している、この時代で 根絶やしに出来るのならな。
これで、お前の能力は封印された。 もう恐怖する事で、 別のいのちに変わる事は無いだろう。
このせかいは、大昔、エコバンスという王が ひとりで秩序を作っていた。
エコバンス亡き後 直属の賢者のひとりが王位を継承した。
しかし、王位継承に納得しなかった他の賢者たちは 自分がせかいの王になる為に 権威者となって、各地に散らばっていった。
権威者たちは賞金稼ぎを使って、 互いに勢力を張り合い ヒトを集め合い くにを作り
くにを治めた。
そして、正しさの基準を作った。
つまり彼らは、せかいの秩序をそれぞれ作った訳だ。
エコバンスの作った一つだった秩序が、いくつも作られ せかいは歪められた。
今でも、権威者の子孫が、権威を受け継ぎ 秩序を作り続けている。
お前は、唯一権威者の子孫では無い、 むじゅんに、味方している。
賞金稼ぎによって家族を殺されたものだ。 賞金稼ぎを根絶やしにし、
むじゅんの「救い」あるせかいにする為に戦っていたぞ。 これからは、その復讐に専念するこった。
折角生き返ったというのに、とんだヘタレだな。 じゃあな。
足手まといだと判断したら即置いていくからな。
こうして、魔女は同行者になった。 俺たちは賞金稼ぎギルドへ向かった。
魔女の能力は封印されたものの 目的である退治には至っていない為
仕事は失敗に終わった。 魔女の賞金がかけられたままだ。
魔女の賞金を取り消す事は可能か?
なに、どうってことない額だ。
<【重要】むじゅん捕獲> *孤児院長・むじゅん *雇われ人・爆弾屋
を捕獲せよ。 賞金、4億コロネ。 年齢、実績問わず。 さかさのくに・東の現王 直属の賞金稼ぎ募集中!!
…
現王直属の賞金稼ぎか。悪くないな。
違約金を用意する為に、 俺たちはむじゅん捕獲に参加する事になった。
こうして、魔女との出会いで
むじゅん捕獲は始まるのだった。
途中、魔女はペットと旦那(ほうき)を手に入れた。
丁度そのころ、「さかさのくに・西」の「王のいない王都」で。
影武者が正式の王子となる式典が開催されており、 にぎわいをみせていた。
この新王子はむじゅんのいる孤児院出身。 彼が正式の王子になることは
つまり「さかさのくに・西」のほとんどが むじゅん勢力になることを意味していた。
また丁度そのころ、「さかさのくに・東」の「廃坑の街」で。
この街には「貧困」を作りだした強欲な「現王」がいる。
現王は、貧しいものたちが 自分の「たいせつなもの」を現王に献上して
コロネをもらうシステム「たいせつなもの市場」を作りだしていた。
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