|
おはなしセレクト
![]() ![]() ![]() いつも「しんかい」から「かがやくもの」を眺めてた。 でも、深い深い「しんかい」からは見えなかった。なにも。 見えないなら「かがやくもの」へ行けばいいんだ。 風が運んできた宛て名の無い手紙をかき集めながら ぼくは歩いて。 そして、そこへやってきた。 ![]() ぼくの憧れの「かがやくもの」。 ここへ来てみて、解かったんだ。 いきものたちは、それぞれがトップランナーのように 自分の道を、力強く、かがやきながら、駆けていた。 ぼくも、そうなりたいけれど、少しこわいんだ。 どうがんばっても、転んで泣いてしまいそうで。 ぼくは、進むことも戻ることも出来ず、立ち尽くしていた。 ![]() ここは、赤と黒の滝。 上には、水。下にも、水。 そして沈んだ遺跡。 ここは、ふしぎなばしょ。 風が吹かない。いまはもう、だれもいない。 でも、見えないなにかが、みちている。 近づいてくる だれかの気配がした。 かなしい予感 むしろ、呼び寄せるように。 滝の洞窟を目指した。 滝の洞窟のなかを、ずんずん進む。 洞窟からする「けむり」の におい。 この、においがする方向へ、ずんずん進む。 においを辿っていったら おおきな いきものに出会いました。 黒い色をした「けむり」でした。 ことば が通じない いきもの。 僕は「けむり」の下を思いっきり走り抜けました。 走り抜けることで生まれた風は いろいろなものを、引っ張りました。 おおきな いきものも、引っ張れました。 ![]() 「けむり」に覆われた、いきもの。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 光が差し込む ちいさなすき間が、抜け道になる いままで、そこにあったものたちは 僕たちがいることで、どこかへ離れて 誰の目にもとめられなかったから 光も通り抜けていってしまうから 洞窟にいる いきものたちから色をうばった 色が混ざった、黒い暗い色 「色」が欲しかった 「けむりだったいきもの」は 風の吹く方向、光のすき間へ まっすぐ走っていった 僕は たくさんの いきものと 正面から出会って すれ違うために 反対の方向へ、駆けていく ![]() ![]() 駆けていく ![]() ![]() 「けむり」で出来た道を、ひたすら、のぼる 弱い道 重さで壊れてしまわないように ウサギさんは、のぼっては、すこしずつ 宛て名の無い手紙を捨てていました ![]() 宛て名の無い手紙が全て無くなったとき 僕たちは、洞窟のおわりに出ていました ![]() 灯台樹からこぼれた涙「おひさま」は 今日も、下から吹く風に逆らって、沈んでいました 沈んだ「おひさま」は「しんかい」とひとつになるらしい いつかすべてのいきものが、沢山涙をこぼしたら ここも「しんかい」になるのかなあ いまは、赤(明)るい この場所も もうすぐで黒(暗)くなる 風はすこし、吹いている ![]() ![]() ![]() 涙をこぼす、灯台樹 ![]() ![]() ![]() だれもいない滝 …そんなわけで。 たいせつな、あて名の無い手紙を全て失ったぼくは 教えてもらったんだ。 周りの景色を楽しみながらでいい、 時に脇道に迷い込んでもいい。 そこで手にしたものは、きっとそこでしか得られない、 たいせつなもの。 その手のひらのたいせつなものを置いていったり、拾ったりしながら、 「歩いて」いくことを。 ぼくは、すこしだけ、さみしくなくなった。 ぼくが「赤と黒の滝の洞窟」で置いていった 宛て名の無い手紙も きっと知らない誰かが拾ってくれて そのヒトのたいせつなものに、きっとなるから。 第3話へ、つづく。
0:導入 1:旅立ち 2:赤と黒の滝 3:魔女が魔女である理由 4:救いのヒト
5:決戦 6:国賭けゲーム 7:きこえない声 8:新たな出発 9:罪の代行者 10:永遠の夜 11:最後のノート 12:じゃあ、また
... ↑トップへ
|